송희영

米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は昨年、ニューヨークで開かれた投資家との会合で講演した。主催者は「講演料をドルで払いましょうか。それともユーロで払いましょうか」と尋ねた。グリーンスパン前議長は「フォーナインにしましょう」と答えたという。フォーナインとは、純度99.99%の金塊を指す。現在のような危機ではどこの国の通貨も信用できないというジョークだった。 主権格付けは一国が借金を返済する能力を表す指標であり、GDPは経済の規模を示す指標だ。経済力が最も凝縮されているのがその国の通貨だ。 40年以上前、カンボジアの通貨は一夜で紙くずになった。経済が破綻し、新政権が樹立されると、それまでの通貨が無効化されたからだ。カンボジアの人々は旧紙幣を貼り合わせ、紙袋などにリサイクルした。 エクアドルは2000年1月、財務省の庁舎前で自国通貨を燃やすセレモニーを行った。米ドルを同国の公式通貨に定めた直後だった。ハンバーガーもドル建てで売られるようになり、銀行預金もドル建てに変わった。しかし、「米国の植民地になるわけにはいかない」と叫ぶデモは起きなかった。国会での小競り合いもなかった。度重なるインフレ、金融危機、通貨危機が身にしみたエクアドル国民は自国通貨が煙の中に消えるセレモニーに拍手を送った。 なぜウォン建て債券が東京やロンドンでは売れず、ソウルでだけ売られるのか。なぜニューヨークの主要銀行に5万ウォン紙幣の札束を持っていっても、ドルに両替してくれないのか。 イ・ミョンバク大統領が就任した日、ウォン相場は1ドル=949ウォンだったが、今月5日のウォン相場は同1111ウォンで、17%もウォン安に振れた。ウォンの通貨としての価値が低下することも知らないまま、自動車、半導体の輸出を最優先してきた結果だ。そろそろウォンを金塊のように堅固な通貨に成長させるという指導者が現れてもよい時期ではなかろうか。